もくじ
ゲームに追加したいサウンドについて
前記事で作成したVVVVVVスタイルの2Dゲームに使用するサウンドを作成します。以下、ゲームに追加したいサウンドの一覧です。
- BGM:シンプルな8bitループサウンド
- SE1:スペース押下(重力の上下反転アクション)時のサウンドエフェクト
- SE2:トラップにあたった時のサウンドエフェクト
- SE3:ゴールに触れたときのサウンドエフェクト
8bitサウンドのBGM作成の流れは本記事で紹介します。ここでは8bitサウンドのBGMをFL Studioとそのプラグインを利用して作成し、Unityでそのサウンドを再生できるように設定します。Unityでは単純にサウンドを鳴らすだけなら、とても簡単な手順で実施が可能です。
サウンドエフェクト(SE)については、「Bfxr」というSE簡易作成ツールを利用し作成します。SE作成は次の記事で掲載する予定です。
FL Studioで8bitサウンドを作る
FL Studioでの8bitサウンドの作成方法を説明する前にひとつ紹介したい学習コンテンツがあります。Udemyの学習コースですが、このコースには8bitサウンドのミュージック制作を学習できるチュートリアルが含まれています。8bitサウンド以外にもゲームミュージックの制作に関するチュートリアルがあり、全く音楽制作がない方でもゲームミュージックの制作を全体的に学習できること、Unityでの実装例も学習できますので、良いチュートリアルとなっています。
Game Music Composition: Make Music For Games From Scratch
初級者から上級者向けにあらゆるタイプのビデオゲームの音楽を作成する方法を学習できます。本コースではFL Studioを使用していますが初心者の方でも使いやすい音楽制作ツールだと思います。
本記事ではFL Studioの具体的な使い方まではカバーしていません。FL Studioが初めてという方は、「 FL Studio公式チュートリアル」や上記のUdemyチュートリアルを参考にしてもらえたらと思います。ちなみにFL Studioの使用には有償ライセンスが必要ですが、トライアルで使用するのであれば、フリーで使用が可能となっています。トライアルとはいえ、保存したファイルの次回使用ができないという制約はありますが、機能に制限はないようなので、お試しの使用には十分です。
ここからは、FL Studioでの8bitサウンドの具体的な作成手順を記載します。
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FL Studioをダウンロード・インストールします。FL Studioの「 Download」ページよりダウンロードできます。( 2.1)
使用しているOSにあわせて、Windows版もしくはMac版をダウンロードします。
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NES VSTプラグインをダウンロード・インストールします。このプラグインの作者のブログページ「 Nintendo VST」よりダウンロードできます。( 2.2)
ダウンロードしZipファイルを解凍したら、既定のVSTプラグインフォルダにファイルを移動してください。プラグインフォルダのパスが分からない場合は、「FL Studio Plugin Manager」で調べることが可能です。「FL Studio Plugin Manager」は、ウィンドウメニューより「OPTIONS」 > 「Manage plugins」を選択すると表示されます。( 2.3)
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Audioチャンネルとトラックのプランを立てます。今回は以下のように5つのトラックで曲を構成することにします。
- Pulse 1 (Square wave):メロディ(キーボード1)
- Pulse 2 (Square wave):メロディ(キーボード2)
- Triangle (Triangle wave):ベースライン
- Noise:パーカッション、SFX
- Samples (DPCM):ドラム
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FL Studioを起動し、FL Projectをセットアップします。Browserウィンドウから「NET VST 1.2」を「Channel rack」の任意のトラックにドラッグ・ドロップします。( 2.4)
同様に5つのトラックすべてに対して行います。( 2.5)
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各チャンネル(トラック)に「NET VST 1.2」を割り当てたら、トラックの右クリックメニューから名前を変更します。名前は先に考えたプランに従って修正します。( 2.6)
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各チャンネル(トラック)ごとにプラグインの設定を変更します。各トラックの設定項目の内容を以下に記載しておきます。( 2.7)
Pulse 1, Pulse 2
- Waveform: Square
- Polyphony: Poly
Triangle
- Waveform: Triangle
- Polyphony: Mono
Noise
- Waveform: Noise
- Polyphony: Poly
Samples
- Waveform: DPCM
- Polyphony: Poly
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曲の構成案を元にイントロ、メインパート、間奏(クールダウン)パートの各パートを作曲します。以下は各パートの時間配分例です。
- イントロ (8 sec)
- メインパート (16 sec)
- 間奏(クールダウン) (8 sec)
各パートに合わせて、自由にメロディ(Pulse 1)、カウンターメロディ(Pulse 2)、ベースライン(Triangle)、パーカッション(Noise)、ドラム(Samples)を組み合わせて作ります。
FL Studioのパターン作成やピアノロールでのシーケンスの打ち込みなどの具体的な使い方は公式のチュートリアルやUdemyのチュートリアルを参照ください。
キー、スケール(Cメジャー、Cマイナーなど)の設定についてはスクリーンショット赤枠内のアイコンを右クリックし表示されるメニューから選択ができます。この機能はコンピュータキーボードで作曲するときなど、DAW初心者にとってはFL Studioで便利な機能の1つです。( 2.8)
2.8 Typing keyboard to piano keyboard
Samplesトラックでは、DPCMをエミュレートしたサンプル音源を使用してドラムパートを作成します。デフォルトでは以下のMIDIノートに割り当てられているので、これを利用してリズムパートを作成します。※MIDIノートはキーの高さによって位置が変わるかもしれません。
- バスドラ:C5
- スネア:D5
- オープンハット:E5
- クローズハット:F5
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8bitサウンド向けに調整しミックスします。以下は調整例です。( 2.9)
- Velocityをリセットします。Shift + Alt + マウス左クリックで対象範囲をドラッグでVelocityのリセットが可能です。これは外部MIDIキーボードなどでMIDIノートを記録している場合など、強弱が付いているのでボリュームを揃えるのが目的です。
- Panは変更しません。
- Mixerウィンドウで各チャンネルの音量を調整します。ベース、ドラムは大きめにします。
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作成したサウンドをWAVフォーマット、Monoモノラルで出力します。メニューより「FILE」>「Export」>「Wave file...」を選択し、レンダリング設定ウィンドウを表示させます。( 2.10)
Modeメニューより「Full song」を選択し、「Start」ボタンをクリックしてサウンドファイルを出力します。( 2.11)
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稚拙ですが、今回作成した8bitサウンドを以下にリンクしておきます。BGMサウンドの作成は以上です。これをUnityでゲームのBGMとして使用できるように設定します。
作成したサウンドをUnityで設定する
次に作成した8bitサウンドをUnityに取り込んで、ゲーム実行時にBGMとして再生できるように設定します。
UnityのProjectウィンドウにサウンド用のフォルダを任意の名前で作成します。作成したフォルダにエクスポートしたWaveファイルをドラッグ&ドロップでインポートします。( 2.12)
ここでは簡易な設定方法を紹介します。先ほどインポートしたWaveファイルをHierarchyウィンドウにドラッグ&ドロップします。Audio Sourceコンポーネントがアタッチされたゲームオブジェクトが自動で生成されます。AudioClipプロパティにはドラッグ&ドロップしたサウンドがあらかじめセットされているはずです。Inspectorから「Play On Awake」と「Loop」にチェックを入れれば、基本的な設定は終わりです。( 2.13)
これでゲーム実行すれば、8bitサウンドがゲームのBGMとしてループで再生されるはずです。音量を調整したい場合は、InspectorからAudio SourceコンポーネントのVolumeプロパティを変更します。Audio SourceのVolumeはデフォルトで最大音量が設定されているので、私の場合、Volumeはいつも低めに設定することが多いです。
以上で、FL Studioによる8bitサウンドのゲームBGMの作成、および、作成したサウンドのUnityでの実装方法となります。
次のページではサウンドエフェクト(SE)の作成とUnityでの実装例を見ていきたいと思います。