もくじ
基本データ
- 書名: ULTIMATE PIXEL CREW REPORT ピクセルアートではじめる背景の描き方
- 著者:APO+、モトクロス斉藤、せたも
- 出版社:ボーンデジタル
- 発売日:2021年4月25日
本書概要
本書は風景をピクセルアートでいかにして描くかということについて作例を交えて入門者向けに簡潔にまとめた書籍となります。
本書目次
【基礎編】
- Chapter 1 ドット絵とは
- Chapter 2 ドット絵の描き方
- Chapter 3 テーマ・コンセプト・物語
- Chapter 4 パース
- Chapter 5 画面構成・構図
- Chapter 6 色
- Chapter 7 光・陰影
- Chapter 8 テクスチャ
- Chapter 9 アニメーション
【応用編】
- 制作過程 APO+
- 制作過程 モトクロス斉藤
- 制作過程 せたも
【巻末】
- ギャラリー
読書感想文
本書はドット絵の制作を始める際の導入となる入門的な本だと思います。一部ですがドット絵以外の基本的な絵画技法も学べます。私自身読んだことのあるドット絵の教本は数少ないのですが、なかなかシンプルにまとまっていて良書だと思いました。ちなみに私はKindle版を購入したのですが、イラストや絵画を見るならやはり書籍版を購入した方が良いです。私は仕方なくKindle版を購入せざるおえなかったのですが、可能であれば、印刷された絵を見る方が断然良いでしょう。
ドット絵特有の技術や技法はChapter 1とChapter 2のみです。ドット絵の具体的な描き方については、Chapter 2の基本編で学べます。基本編以外の内容はドット絵に限らず絵画やイラストレーションで必要とされる技術・知識について学習することができます。
ドット絵特有の学習は前半の一部で終わってしまうので、ドット絵を学習したいという方には少々物足りない内容かもしれませんが、結局のところドット絵も絵画の一形態でしかありませんので、絵画技術を学ぶことがドット絵を極めるためにも大事だということだと思います。それらをドット絵に応用するためには繰り返し練習することが必要になるでしょう。
全体的には一般的な要素しか記載されていないように思われますので、絵画に関する技術や知識を学習するために本書を選ぶのであれば、他の書籍も見る必要があると思います。著者の方々はUPCというグループに属しているアーティストの方ということであり、本書は作品集という位置付けにもなるかと思いますので、彼らの絵がもともと好きだという方には特におすすめできると思います。ドット絵の作風がどのようなものがあるのか興味のある方にももちろんおすすめです。
通常、アーティストの制作過程を知ることは稀ですが、後半に3名のアーティストによるドット絵の制作過程が掲載されており、とても面白いコンテンツだと思います。
個人的に本書で取り上げられていて気になった絵画技法は主に以下のものです。今後の制作に活かせそうなものだと思います。
- 漸近化:少ない色数・ドット数で物を描く。
- パース補助線:風景を描くのには必須だと思います。
- 物への反射や鏡面・ガラスへの映り込みをうまく表現に活かす。
- 視線誘導:風景のみではなく、キャラクターや看板などの文字を使って鑑賞者の視線を意識した作り方。
Photo by Cristina Gottardi on Unsplash